着工に向けて、設計担当の加藤から図面一式を引き継ぎました。
僕は、見学会や設計打合せでお施主様とお会いしているので、ご家族の雰囲気や好みなどは感じ取っています。
ですから、それを踏まえて、建物の仕様を確認していきます。
お客様の夢が詰まった設計図書には特殊な内容もあり…
まずは、とことん向き合います。
建物の部品にはそれぞれ納期があります。
注文すると数日中に配達されるものもあれば、長く掛かるものもあります。
納期の掛かる代表格が構造材で、設計図書から加工図を作成し、工場で加工された構造材が現場へ届けらるまで、1ヶ月半程度を見込んでおきます。
( 弊社では木を愛してやまない山町商店さんへ、構造材とプレカットをお願いしています。)
加工図をまとめるまで、やるべきことはたくさんあります。
構造的な弱点となりそうな部分を探し、改善策を考え、加工工場と話し合い決定する。
仕上げや納まりを配慮しながら、作業効率とコストのバランスを整える。
自分が暮すなら、居心地が良いだけでなく安心な住まいがいい。
だから、こだわりをもって加工図をまとめるようにしています。
例えば、柱の配置。
上下階でのずれをチェックします。
写真は2階部分の図面で、水色は2階にある柱、丸印は真下に柱がないことを示します。
ポイントは、上下階の柱位置を一致させる事です。
構造的に重要な役割のある柱を上から下まで連続させるようにしています。
丸印の柱の下(1階部分)をみます。
オープンな空間。
水色の柱に大きな重みがかかると、それを支える梁が大きくなります。また、水色の柱の下の梁はスパンが長いことが判ります。木の梁はスパンが長いほど、たわみが大きくなります。
梁が大きくなると、天井裏の配線や配管がし難くなるなとか、天井裏に納まらないサイズになると追加費用がかかるなとか、現場の状態をイメージします。
無駄を発生させないために。
この柱に大きな重さが掛からない小屋組みとし、構造的な役割の小さい柱とすることにしました。
こちらも懸案事項。
2階の筋交(耐力壁)の両脇にある柱の一方が、下の階の柱と少しずれています。
1階の柱と一致させる事で、台風や地震でゆすられた際の力の流れはスムーズになりますが、2階の耐力壁の量は少し減ります。
さてさて、どうしたものか。
建築基準法で定めらている訳でもなく、
長期優良住宅の規定となっている訳でもない、上下階での柱の一致。
なぜ、こだわるのか。
そうする事で、この家の安全性が少し高くなるからです。
ライフスタイルが多様化し、住宅の間取りも変化しています。
だからこそ、基本に忠実なチェックが必要だと思います。
家は完成した瞬間が全てではありません。
長い時間、家族にとって安心できる場所であるべきです。